2023 年 38 巻 p. 48-55
筆者らはこれまで,補強土壁における施工時の品質管理や竣工後の健全性評価に関する諸問題を解決する足掛かりとして,アンカー補強土壁が有する構造的な特徴を生かし,補強材中にあるターンバックルの回転トルクを用いた施工時の品質管理手法や,壁表側で連結した補強材を用いた竣工後の健全性評価手法について検討してきた.本研究では,これらの手法をジオテキスタイル補強土壁にも拡張し,施工中や竣工後に補強材の引抜き抵抗力を計測しうるシステムの開発と,その検証を目的とした実大実験を行った.その結果,小型のL型擁壁と丸鋼に連結したジオグリッド片を補強土壁内に設置することで,斜壁である鋼製枠補強土壁であっても,施工中や竣工後に補強材の引抜き抵抗力を計測し,設計値と比較できることが分かった.