1995 年 10 巻 p. 73-82
ジオテキスタイル補強土壁に剛性の高い壁面工を用いることは、壁面変位の抑制、ジオテキスタイルに必要な引張力の低減など、補強土壁の安定性の向上に寄与する効果が、これまでに確認されている。この効果の評価は、壁面工、ジオテキスタイル及び盛土の相互作用に着目した応力~変形挙動の研究が必要と考える。本研究は、高さ10.0mの捕強土壁について、壁面勾配を1:0.0~1:0.8(0.2ピッチ)の間で変化させ、壁面工に巻き込み式、コンクリートパネル式、コンクリートブロック式の3タイプを想定した場合の各種変形挙動を把握するため、築造過程を考慮した2次元弾塑性FEM解析による数値解析を実施した。その結果、巻き込み式と比較して剛性の高いブロック、パネル式による壁面工が、補強土壁の安定性を高める効果を発揮する上で、必要となるいくつかの知見を得ることができた。