2003 年 18 巻 p. 183-190
近年での地盤工学の重要な議論の一つに、供用期間内に土構造物に生じる残留変形を見積もること、があげられる。本研究では、a)単調載荷試験,b)荷重保持載荷試験,c)荷重振幅と周波数を制御した繰返し載荷試験、を行い、高分子補強材の荷重保持載荷・繰返し載荷時における残留変形特性を検討した。一般的に繰返し載荷によって生じる高分子補強材の残留変形は、繰返し載荷回数や振幅等の載荷履歴(時間に依存しない変形要因)の効果と考えられてきた。しかし、本研究による検討によると、繰返し載荷による残留変形はほぼ材料粘性による載荷速度効果であることが分かった。すなわち、繰返し載荷による残留変形は、ほぼクリープ変形による時間依存変形である。
さらに、本研究では時間依存変形特性を表現するために提案された非線形レオロジーモデルを用いることにより、繰返し載荷や荷重保持を含む載荷条件での高分子補強材の変形特性をシミュレーションすることが出来た。