抄録
補強盛土を、橋台・橋脚や重要構造物の基礎など、変形の厳しい制限のもとで大きな死荷重と活荷重を受ける構造物に用いるためには、強度だけでなく、高い剛性とその適切な評価手法が必要である。従来の補強土構造物の変形強度特性の研究は、破壊荷重を含む比較的大きな荷重範囲での応力ひずみ関係の議論が多い。しかし、実際の鉄道や道路の橋台・橋脚などの場合には、比較的小さな振幅の繰返し荷重が、非常に多数回加わったときの残留変形が問題になる。本研究では、補強土橋脚の室内模型に比較的小さな応力振幅の繰返し荷重をかけて、その弾性剛性と残留ひずみの進行を測定した。補強材の総剛性を様々に変えて、その影響について検討した。その結果、交通荷重などの微少な荷重に対する変形係数は、補強材の剛性には余り影響されず、盛土材への拘束圧など、盛土材自体の剛性の方が支配的だった。また、微少な多数回の繰返し荷重に対する残留変形は、クリープ変形による部分が大きく、それは補強材剛性が高いほど少なくなる傾向が見られた。