脳神経外科ジャーナル
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Long vein graftについて(<特集>脳動脈の再建術)
江口 恒良
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1992 年 1 巻 1 号 p. 48-54

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抄録

1967年来行われてきたEC/IC bypassは主にSTA-MCA anastomosisであった.これは閉塞性脳血管障害のみならず,直達不能な脳動脈瘤に対する補助的手段としても施行されてきた.大伏在静脈を介在させるEC/IC bypass(long vein graft)は1971年にLougheedが初めて報告した.このlong vein graftを介在させることにより今まで不可能だった部位のEC/IC bypassが可能となった.Long vein graftはより大量のバイパス血流を脳内に流入することができる.これは利点であると同時に留意点にもなりうる.すなわちこの手術はSTA-MCA anastomosisよりriskyな面がある.この点を認識して手術適応を決定すべきである.手術後早期の開存率はSTA-MCA anastomosisより劣るが,手術手技を習練し,術中・術後の薬物的管理を適切に行えば,ほほ同様の開存率を得ることは可能である.長期開存率に関してradial arteryとの比較が議論として存在するが,心臓血管医の報告ではvein graftの方が圧倒的に開存率が高かった.

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© 1992 日本脳神経外科コングレス
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