抄録
悪性グリオーマに対して行われてきた放射線療法および化学療法の治療成績を,これまでの報告を中心に述べた.現在広く用いられている手術に放射線・化学療法を併用した治療法の中間生存期間は約1年であった.この結果をふまえ,最近では新たな工夫もなされている.放射線療法では,密封小線源による腫瘍組織内照射法や術中大線量照射法,さらにγ線と質の異なる重粒子線の照射法等があり,一方化学療法では,薬剤の組織到達度を高める目的で,動脈内投与法や,自家骨髄移植を用いた抗癌剤の大量投与法等がある.これらの治療成績についても現状を述べるとともに,悪性グリオーマのモデルをもとに各治療法の意義についても考察を加えた.