脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
LAK療法を中心とした免疫療法の現状(<特集>悪性神経膠腫の最良の治療はなにか)
吉田 誠一田中 隆一高井 信行小野 晃嗣森 宏
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 1 巻 2 号 p. 110-115

詳細
抄録

再発悪性glioma患者44例に末梢皿リンパ球よりLAK細胞を誘導し,このLAK細胞(2×10^8〜1.1×10^<10>)にlL-2(300〜5.4×10^5)も加えて腫瘍内に直接投与する局所養子免疫療法を試み,以下の結果を得た.1)患者リンパ球にlL-2(600U/mのを加えて培養すると,K-562,Daudi,およびglioma細胞に対して,それぞれ54%,60%,38%以上の高いキラー活性が誘導できた.2)このLAK細胞誘導時にlL-1を加えると,LAK活性は10%近く増強したが,他のサイトカインでは抑制され,LAK細胞の増殖能はlL-1,Interferon-γで増強傾向を示し,抗CD3抗体のtiggering効果も認めた.3)臨床的には,初期効果でみると,症状の改善は15例に認め,CT上のPR,MR,NCはそれぞれ4例,7例,21例であった.4)長期間,本治療をなし得た24例を検討すると,初期効果を認めた5例,無反応10例の平均生存は,それぞれ38.2ヵ月,24.2ヵ月であり,historical control群の12.6ヵ月に比べ有意に延びており,維持療法への期待がもたれた.以上の結果より,今後の展望として,LAK細胞の傷害活性機構の解明,LAK細胞誘導の至適条件と培養方法の検討,および,細胞工学的手法を用いた新しい展開などが望まれるものと思われた.

著者関連情報
© 1992 日本脳神経外科コングレス
前の記事 次の記事
feedback
Top