脳神経外科ジャーナル
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交通性胸髄クモ膜嚢胞の臨床像, 画像の検討
織田 雅花北 順哉諏訪 英行塩川 和彦齋木 雅章佐藤 宰梶原 基弘渥美 希義福井 淳梅田 聡早坂 みさを
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2001 年 10 巻 8 号 p. 511-517

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抄録
過去12年間に手術にて診断が確定した胸髄の交通性クモ膜嚢胞の15症例を対象にして, 放射線学的検査法の有用性を検討した.年齢は32〜71歳(平均53.8歳)で, 男7例, 女8例であった.来院時症状は, 下肢の知覚障害が13例, 下肢の筋力低下が4例, 背部痛が4例, 躯幹の絞扼感が2例などであった.画像所見では, 脊髄造影は12例に行われたが, この検査法にてクモ膜嚢胞との診断に至ったものは5例であった.CT-myelographyでは脊髄背側の変形と脊髄の腹側への変位, クモ膜下腔の拡大所見は, 12例全例で認められた.1.0TのMRIでは, 水平断像にてほぼCT-myelographyと同様の所見が得られたが, 1.0Tのcine MRIは現段階では不十分な検査法と考えられた.手術結果は13例で改善, 2例は不変で悪化例はなかった.今回検討したような交通性クモ膜嚢胞では, その臨床診断, 画像診断は容易ではない.この疾患を念頭においたうえでの臨床症状の検索, 詳細な画像診断とその読影が確定診断には必須の項目と考えられた.
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© 2001 日本脳神経外科コングレス

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