脳神経外科ジャーナル
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プロラクチンおよび成長ホルモンを産生し嚢胞を伴った異所性鞍上部下垂体腺腫
鈴川 活水天羽 正志大貫 明石井 尚登浦上 信也
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2001 年 10 巻 8 号 p. 525-530

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抄録

プロラクチン(PRL)および成長ホルモン(GH)を産生し, 鞍上部に発生した異所性下垂体腺腫種を経験した.開頭手術によりほぼ全摘を行い, 症状と内分泌学的治癒をもたらしたので報告した.症例は22歳, 女性で, 頭痛, 視力障害そして無月経を主訴として来院した.MRIにて鞍上部に直径が各2×3×2.5cmのniveau formationを示す嚢胞性腫瘍を認め, 鞍隔膜によって正常下垂体とは分けられて観察された.下垂体ホルモン検査では血清プロラクチンとGHの基礎値が高値を示し, TRH, LH-RHおよびヒトインスリンによる下垂体刺激試験には低反応であった.一方, 血清ACTH, TSH, LH, FSHの基礎値は低値を示し, 下垂体刺激試験に対し低反応を示した.術中所見では腫瘍は正常下垂体との連続性がなく, pars tuberalisより発生したものと考えられた.病理学検査においては, 免疫染色も含め, プロラクチンと成長ホルモン陽性の下垂体腺腫と診断した.下垂体ホルモン術後検査ではPRL基礎値は低値となり, 下垂体刺激試験にも低反応となった.他のホルモンは基礎値および下垂体刺激試験ではともに正常化した.術後頭痛, 視力障害は消失し, 6カ月後には規則正しい月経も再来し, 腫瘍の全摘が目指されるべきであると考えられた.

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© 2001 日本脳神経外科コングレス
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