抄録
テント上の無症候性未破裂脳動脈瘤の自然歴と手術成績を文献学的に検討し,下記の結果を得た.1)年間出血率は1〜2%であり,国際共同研究で示された出血率は対象とした症例の選択にバイアスがかっかている可能性が高く,考慮しなくてよいと考えられる.2)5mm以下の小さな脳動脈瘤および70歳以上の高齢者の脳動脈瘤も出血する可能性がある.3)手術成績は死亡率1%以下,悪化率4%であった.4)手術法は現在のところ直達手術が第一に考慮されるべき方法である.以上の結果から,巨大脳動脈瘤を除くとテント上の無症候性未破裂脳動脈瘤は,正常な日常生活が可能で,重篤な全身合併のない例では5mm以下の脳動脈瘤を含め70歳以上でも手術適応があり,巨大脳動脈瘤では手術がむずかしく手術成績もやや悪いことから,70歳以下の例で手術適応があると考える.