脳神経外科ジャーナル
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鼻側半盲を呈した鞍上部異所性下垂体腺腫の1例
佐々木 輝夫荒井 啓史阿部 深雪上杉 憲幸菅井 保小笠原 邦昭中村 眞一小川 彰
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2003 年 12 巻 2 号 p. 124-128

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抄録

鼻側半盲を呈した鞍上部異所性下垂体腺腫の症例を経験した.症例は40歳,男性で,左眼の視力低下を主訴に来院した.初診時左眼の鼻側半盲を認めた.頭部単純X線ではトルコ鞍の平皿状変化を示し,MRIでは鞍上部の腫瘍ならびにそれとの間に明瞭な境界を有する正常下垂体が確認された.術中所見では腫瘍と下垂体茎とは境界明瞭,腫瘍と鞍隔膜の軽度癒着は認めたが,トルコ鞍内との連続性はみられなかった.腫瘍は肉眼的に全摘された.病理診断は下垂体腺腫であった.術後の内分泌学的検査では下垂体前葉機能は保持されていた.画像所見,術中所見,病理所見および術後の内分泌学的所見から,鞍上部異所性下垂体腺腫と診断した.

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© 2003 日本脳神経外科コングレス
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