抄録
内頸動脈偽閉塞症例に対してCEAを施行し得た症例を報告し,その診断,治療適応ならびに術中Dopplerの有用性について考察した.症例は77歳,男性で,脳梗塞で発症した右内頸動脈偽閉塞例であった.脳血管撮影で右内頸動脈は閉塞様所見を呈し,外頸動脈から眼動脈を介して内頸動脈サイフォン部が描出され,毛細血管相でゆっくりと順行性に内頸動脈が描出された.術前頸部血管エコー,経□腔頸動脈エコーを用いてCEAの治療適応と決定し,術中Dopplerを用いて内頸動脈遠位側の開存を確認し,CEAを行った.CEA後Dopplerにて内頸動脈,外頸動脈の波形はdynamicに変化し,正常化したことを術中に確認した.術中評価として,Dopplerを用いた血行動態評価は簡便かつ有用であった.