脳神経外科ジャーナル
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術中脳動脈瘤破裂への対処(第24回日本脳神経外科コングレス「難しい脳動脈瘤手術への挑戦」発表演題)
永田 和哉
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2004 年 13 巻 11 号 p. 775-780

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抄録
脳動脈瘤の術中破裂について,「何をすべきか」よりも「何をしてはいけないか」の観点から対処法をまとめた.まず第1に,術者は興奮したり焦ったりしてはいけない.出血量が膨大に見えるから焦るのであって,まず顕微鏡の倍率を下げて一呼吸つく余裕が必要である.第2に,それ以上事態を悪化させてはいけない.いきなり太い吸引管を挿入するのではなく,先ほどまで展開されていた術野を思い出しながらゆっくりと出血点を探す.第3に圧迫止血にいってはいけない.血液が裏側に回りこんで破滅的な脳腫脹をきたす危険がある.出血点が観察されたらtentative clipなどで一時的な止血を得たうえで最終的なclipに向かえばよい.冷静な対処が結局は早道である.
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© 2004 日本脳神経外科コングレス

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