抄録
内頸動脈後交通動脈分岐部動脈瘤は頻度の高い動脈瘤ではあるが,その手術にあたっては次のようにいろいろ留意すべき点がある.(1)後交通動脈の走行が内側型か外側型か見極め,穿通枝を含めその保存に留意する.(2)動脈瘤のdomeが頭蓋底の組織に癒着していることがあること,動脈瘤の内圧が高いため,剥離やclippingに際してはproximal flow controlを用いて安全に行う.(3)またproximal flow controlにあたってはophthalmic segmentの内頸動脈で確保できるとは限らないため,常に頸部での確保の準備をしておく.(4)動脈瘤やその近傍の組織の解剖とそのvariationをよく理解しておく.こういった原則に忠実な手術法で,安全な手術を心がけるべきである.