脳神経外科ジャーナル
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動脈瘤内塞栓術を施行した末梢性多発前下小脳動脈瘤の1例
加藤 祥一黒川 徹尹 英植藤井 正美西崎 隆文鈴木 倫保坂元 健一柏木 史郎藤澤 博亮
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2004 年 13 巻 7 号 p. 539-544

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抄録
クモ膜下出血で前下小脳動脈の多発性末梢性動脈瘤に対して,動脈瘤内塞栓術を施行し得た最初の1例を報告した.症例は60歳,女性.頭痛,意識障害で発症し,クモ膜下出血と診断された.脳血管撮影では,小脳動静脈奇形とその流入動脈である右前下小脳動脈の末梢部に2個の動脈瘤を認めた.また右中大脳動脈瘤,左内頸動脈瘤,右前下小脳動脈は脳底動脈の窓形成部から分岐する.などの血管異常を合併していた.前下小脳動脈末梢部の多発性動脈瘤であり,発生要因として,先天的な血管異常と流入動脈としての血行力学的負荷が考えられた.本症例の動脈瘤塞栓術に際して窓形成は,カテーテルの誘導を困難にしたが,前下小脳動脈は脳動静脈奇形の流入動脈として拡張していたために,末梢動脈瘤部での繊細なカテーテル操作を可能にしたものと考えられた.
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© 2004 日本脳神経外科コングレス

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