抄録
中大脳動脈主幹部塞栓症に対するGateway^<TM> PTAカテーテルを用いた局所線溶療法において,手技中にディスタルシャフトの屈曲が生じ,カテーテル操作が困難となった2例を経験した.カテーテルの屈曲部位の観察から,彎曲の強い頸部内頸動脈に置かれた親カテの先端部,あるいは著明に蛇行した内頸動脈サイフォン部において屈曲が生じたと考えられた.ディスタルシャフトはコアキシャル構造でブレードが入っておらず,血管の彎曲,蛇行の著しい部分では屈曲することがあり,ガイドワイヤーが挿入されていない状態では,あたかもストローが折れたような形でカテーテル内腔が閉塞してしまうことが明らかとなった.このような状態でガイドワイヤーの再挿入,あるいは造影剤,ウロキナーゼの注入を行うことは,屈曲部位におけるカテーテルの穿孔,さらには断裂をもたらす危険性がある.したがって,Gateway^<TM> PTAカテーテル操作中に異常を感じたときには,ディスタルシャフトが屈曲している可能性を念頭に置き,無理のない慎重で安全な手技を行うことが重要であると考えられた.