抄録
小型聴神経腫瘍に対しての治療は, 経過観察, 定位的放射線治療, 手術治療の選択肢があり, 自然歴と治療法の長所短所を総合して方針を決定する必要がある.数年間という比較的短期間について, 小腫瘍の自然歴が諸家により明らかにされつつある.急速な増大例もあるが, 腫瘍の成長は約1〜2mm/年と報告されている.さらに, 約30〜70%では大きさに変化なく, 逆に縮小を示す例も5〜20%程度で存在するとされている.聴機能については腫瘍増大に関係なく悪化を示していくとする報告が多い.腫瘍制御の側面からは手術治療が, 聴機能温存・低侵襲性の側面からは定位的放射線治療に利点があると一般に考えられている.