Myelopathyで発症する頭蓋内硬膜動静脈瘻は稀であり, 時に診断に苦慮することがある.今回, 繰り返す両下肢脱力および排尿障害で発症した頭蓋内硬膜動静脈瘻の症例を経験した.症例は, 61歳の男性で, 当院入院3年前より両下肢脱力が生じたが数日で改善していた.同時に両手のしびれ, 排尿排便障害があったが放置していた.3カ月前より両下肢脱力および歩行障害が進行し入院となった.MRI, 3D-MRA, 脳血管撮影にて, 横洞・S状静脈洞部硬膜動静脈瘻と診断した.脊髄静脈には, 還流静脈である小脳皮質静脈, 上錐体静脈洞から逆流しているため, 経静脈的に上錐体静脈洞にcoil塞栓術を施行し, 術後症状の改善を得た.本症例のmyelopathyは, venous hypertentionによる血管原性浮腫が関与しており, 早期診断, 早期治療が重要である.本症例の診断には頸部3D-MRAが有効であった.
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