脳神経外科ジャーナル
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顔面痙攣の再手術 : 症状再発の予防と対策(第24回日本脳神経外科コングレス「神経血管減圧術 : 困難例に対する手技)
近藤 明悳
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2005 年 14 巻 2 号 p. 93-98

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抄録
顔面神経減圧術後の症状の再発の要因として,1) root exit zone(REZ)と圧迫血管の間に挿入されたprosthesisによる癒着,2)圧迫血管のREZからの遊離不十分,a]圧迫血管のperforatorが短い,b]後頭蓋窩容積が小,または形状が浅く圧迫血管,特に太い椎骨動脈を十分移動できない,c]圧迫血管が第7,8脳神経の間を走行している,3)圧迫血管が複数である場合などがある.再手術は,症状が再発現して顕著となり,本人の要望があり,かつ身体条件に問題がない場合に適応となる.著者の1976〜1991年までの術後5年以上経過観察した症例を検討すると,再発率は平均約7.9%,再発までの期間は平均約4.8年となっている.再手術時の注意点は.REZ周辺に線維組織の癒着があるため脳神経,特に聴神経に対する愛護的な操作が肝要である.聴神経機能モニターでは,そのcritical limitを把握しておく必要があり,第5波潜時の1.0 msec以上の延長,振幅の40%以上の減少は要注意である.癒着による再発の防止にはprosthesisの適切な位置への挿入,圧迫血管を近傍の硬膜にtranspositionする方法が最良と思われる.
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© 2005 日本脳神経外科コングレス

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