脳神経外科ジャーナル
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頸動脈内膜剥離術 : Evidenceに基づいたCEAの手術適応
宇野 昌明
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 16 巻 1 号 p. 44-50

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抄録
本論文は,現在までに分析された欧米でのrandomized studyの結果を基に,CEAの手術適応について述べる.発症から6カ月以内の症候性内頸動脈狭窄症で,70〜99%狭窄の症例に対してCEAは有効であり,50〜69%狭窄はCEAを考慮してよい.CEAが最も有効であるfactorsは,(1)男性,(2)75歳以上,(3)最終発作から2週間以内のCEA症例である.Near occlusionに対するCEAの効果は術後2年間は有効であるが,5年間でみれば効果は証明されていない.Retinal ischemiaで発症した症例は,大脳半球虚血例よりCEAの効果は低い.無症候性で年齢が40〜75歳で,かつ60〜99%狭窄の症例はCEAを考慮してよいが,患者が5年以上の生存が見込まれ,かつ手術合併症率が3%未満の施設に限る.女性に関しては,症候性でも50〜69%狭窄,および無症候性ではCEAの効果は証明されていない.しかし,2004年に発表されたACSTでは,74歳以下の狭窄率が70%以上の症例では,無症候性でかつ女性でもCEAの効果が示された.自施設における合併症発生率を厳密に検討し,エビデンスに基づくCEAの適応を確立する必要がある.
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© 2007 日本脳神経外科コングレス

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