抄録
今回われわれは,前頭蓋窩,特に篩骨板部硬膜に発生し巨大な頭蓋内腫瘤を形成し,篩板の欠損部を介して鼻腔内にも進展した前頭蓋窩発生のsolitary fibrous tumorの1例を報告した.両側前頭開頭および経鼻的に内視鏡を使用し全摘出した.本症例の特徴は,腫瘍が前頭蓋底に発生し頭蓋内外に進展していたこと,巨大な多房性の嚢胞状変化を伴ったことが挙げられる.確定診断には,免疫組織学的検査が重要で,CD34,vimentin陽性で,S-100蛋白,EMAは陰性である.前頭蓋窩に発生し頭蓋内外へ伸展する腫瘍として,olfactory groove meningioma,olfactory neuroblastoma,metastatic tumorなどとの鑑別が重要である.