抄録
上位頸椎は複雑な構造をもつうえに靭帯組織が大きな役割を果たし,また,可動範囲が大きいなど不安定性をきたしやすい要素を有する。そのため上位頸椎外傷の診断・治療には特別な配慮が必要となる.画像診断には主に単純X線,CT,3D-CT,MRIなどが用いられる.神経,靭帯を含め軟部組織損傷にはMRIが,骨折を含め骨構造にはCTおよび再構成像が有用である.外固定としては頸椎カラー・halo-vest固定などが施行されるが,重大な靭帯損傷を生じた場合には外固定を続けても安定性の回復は期待できず早期の内固定が必要となる.内固定法として以前は移植骨とワイヤーによる固定が行われたが,不安定性の強い上位頸椎では不成功に終わる率も高く,最近ではロッドとスクリューの組み合わせによる強固なinstrumentationが主流となっている.主に後方アプローチによる環軸椎固定,後頭頸椎固定が行われるが,歯突起骨折においては前方からの歯突起螺子固定法も有用である.また,この部は複雑な骨構造と重要な神経・血管を含むためスクリューの挿入にはナビゲーションが有用である.上位頸椎外傷の診断と治療についての最新の知見について解説する.