抄録
側脳室体部腫瘍に対する手術アプローチには,経中前頭回アプローチと経脳梁アプローチがある.基本的には大脳皮質に直接侵襲が加わらない経脳梁アプローチを選択すべきであるが,進入経路に両側性に太い架橋静脈が存在する場合は,経中前頭回アプローチを採用せざるをえない.巨大なcentral neurocytomaの自験12例では,各手術アプローチの選択は6例ずつであった.8例が全摘出,4例が亜全摘出で,摘出度に関しアプローチ間に差はなかった.腫瘍の摘出操作では,脈絡叢を早期に確認し,前方にたどってモンロー孔に進み,視床線条体静脈と前中隔静脈を同定することが重要である.このような解剖学的指標の確認に努めれば,脳弓や視床線条体静脈の損傷は避けられると思われる.Central neurocytomaは放射線感受性が比較的高いので,腫瘍と脳弓の癒着が強固であれば,亜全摘出術と定位的放射線治療の併用も考慮すべきであろう.