2010 年 19 巻 1 号 p. 24-31
DBS(deep brain stimulation)が不随意運動の治療に用いられるようになったのは1980年代後半,振戦の治療からであるが,その後の20年で適応は大幅に拡大した.今日,パーキンソン病や本態性振戦の治療では,DBSは標準的治療の一部としての地位を確立したといってよい.また,従来有効な治療法のなかった全身性ジストニア,舞踏病様運動,トゥレット症候群の一部の患者では,DBSが劇的な症状改善をもたらし,患者の生活の質を明らかに向上させた.DBSは,不随意運動と同様に症状形成に前頭葉と基底核が関与すると思われる強迫神経症,うつの症状改善にも寄与するとの報告が出はじめているが,本邦ではまだ施行されていない.