脳神経外科ジャーナル
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頚椎症 : 前方からか後方からか(<特集>一般脳神経外科医が知っておくべきsubspecialtyの知識)
小柳 泉村上 友宏金子 高久吉藤 和久宝金 清博
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2010 年 19 巻 1 号 p. 32-40

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抄録

頚椎変性疾患に対する外科治療選択,特に前方あるいは後方アプローチの選択は従来議論の多いところである.われわれは,1〜2椎間圧迫病変に対しては主に前方固定,3椎間以上の多椎間病変や黄色靭帯による圧迫が主体の症例には後方除圧(両開き式椎弓形成術)を行ってきた.今回,1996〜2007年に著者が外科治療を行った頚椎症263例,頚椎OPLL91例について,おのおのの術式での合併症や問題点を分析した.文献のレビューと合わせ,術式選択に関して考察した.前方固定は227例,後方除圧は127例であった.術後に新たに発生した上肢症状は前方固定群で少なく,経過観察中の再手術は後方除圧群で少ない結果であった.後方除圧群では平均で11度の頚椎の可動制限がみられた.前方および後方除圧にはおのおの十分理解しておくべき利点と欠点がある.外科治療の選択は,圧迫レベルの矢状方向の伸展,後方からの圧迫要因,頚椎の後弯変形,全身状態などをよく考慮して個々の症例で決定するべきであろう.

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© 2010 日本脳神経外科コングレス
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