脳神経外科ジャーナル
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プロラクチノーマの新規内分泌診断法の開発と自験450症例のCabergoline治療成績(<特集>間脳下垂体腫瘍の治療)
小野 昌美三木 伸泰高野 加寿恵
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2010 年 19 巻 9 号 p. 666-671

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抄録

プロラクチノーマ(PRLoma)の治療は,プロラクチン(PRL)の正常化率で外科手術より優れたドパミン作動薬を用いる薬物療法が世界的に第1選択となっている.最近では,有効性と忍容性に優れたcabergoline(CAB)がbromocriptine(BC)に代わり治療薬の主流になってきた.われわれのCAB治療戦略は,症例ごとに異なる薬物応答性を考慮した,個別症例化された強化薬物療法である.450症例の自験例において,99%の高PRL血症を正常化し,器質的異常のない全症例で性腺機能を回復し,85人の妊娠希望例の94%で妊娠を誘導した.腫瘍縮小効果も顕著で,薬物治療歴のない症例では治療2年以内に96%の症例で腫瘍が消失した.一方,PRLomaの診断においては,内分泌学的な確定診断法はいまだ確立されていない.非手術症例で確定診断するには,薬物治療による明確な腫瘍縮小を証明することが必要である.しかし,腫瘍縮小には長期間を要するため,高精度で簡便な診断法の開発が切望される.われわれはGHRP-2のPRL分泌促進作用に着眼し,高PRL血症におけるPRLの反応性を検証してきた.そして,非PRLoma性の高PRL血症と異なって,PRLomaは全症例でGHRP-2に無ないし低反応であることを見出した.

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© 2010 日本脳神経外科コングレス
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