抄録
多発性嚢胞腎症(polycystic kidney disease,以下PKD)は家族性に発症し,脳動脈瘤や脳内出血を合併することで知られる.われわれは破裂脳動脈瘤に家族性のPKDを合併し,動脈瘤術後に脳内出皿をきたした症例を経験し,その家族についてPKDの有無を検索した.PKDと診断された実子にMR angiographyによる脳動脈瘤の検索を行ったが異常は認められなかった.PKD患者において,脳動脈瘤の合併はその患者の生命予後に大きく関与するため,できるかぎりの検索が重要であることを強調する.また,脳動脈瘤,脳内出血患者におけるPKD合併の可能性,PKD患者の手術に際して脳血管の先天的脆弱性を考慮すべきである.