2011 年 20 巻 12 号 p. 904-912
東日本大震災は,宮城県北東部沿岸部にも未曾有の被害を及ぼし,被害の少なかった当院も,発災より3ヵ月経過した現在もいまだ通常の診療に復していない.今回の震災は,特に地方における大規模災害医療の問題を浮き彫りにした.特に患者の集中が顕著であり,大規模被災地区より周辺地区への患者搬送のシステムを構築しておくことが重要と思われた.発災後5週間の検討では,脳血管障害や頭部外傷患者の増加が確認された.これは発症の増加と患者集中の側面があると思われるが,高齢患者が増えたことは震災後の特徴と思われた.慢性期には,慢性硬膜下血腫症例も増加した.また発災直後には痙攣発作,失神で搬送される者が著増した.