2009 年 31 巻 1 号 p. 21-31
本研究は,家庭内の高齢者虐待を防ぐため,家族介護者が抱く要介護者に対する身体的および心理的虐待の切迫感に関連する要因を明らかにすることを目的とした.2007年,A県内の訪問看護ステーション利用者の家族介護者にアンケート調査を実施し,300人を分析対象とした.その結果,34.0%の家族介護者が,身体的および心理的虐待の切迫感を自覚していた.多重ロジスティック回帰分析の変数減少法を用いて尤度比検定を行った結果,切迫感に関連する要因は,家族介護者のZarit介護負担得点の上昇(オッズ比1.051,95%信頼区間1.034-1.068)と,要介護者が脳卒中既往者である場合(オッズ比2.054,95%信頼区間1.192-3.539)であった.家族介護者の身体的および心理的虐待の切迫感を緩和するためには,総合的な介護負担感の軽減と脳卒中既往者のための介護方法を検討することが必要であると考えられる.