脳神経外科ジャーナル
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二分脊椎治療の長期予後 : 乳児期以降の脳神経外科的脊髄髄膜瘤管理(<特集>小児神経外科治療と長期予後)
師田 信人
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2011 年 20 巻 5 号 p. 339-350

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抄録
脊髄髄膜瘤の発生頻度は長期的に,また葉酸の予防的内服投与の影響もあり減少してきている.一方で,生存率は改善傾向にあり,成長した脊髄髄膜瘤患児の長期予後が問題となってくる.脊髄髄膜瘤の長期予後に影響を与える脳神経外科的病態としては,水頭症,キアリ奇形2型,脊髄係留症候群が問題となる.水頭症に対するV-Pシャント術の適応は従来と比較して減少傾向にあり,60%前後とする報告もある.シャント機能不全は全経過中90%以上に出現するといわれ,シャント機能管理は生涯に及ぶ.キアリ奇形2型由来の慢性的呼吸障害は成長後も20〜60%に潜在している可能性が指摘され,決して乳幼児期だけの問題でないことが明らかにされてきている.脊髄髄膜瘤術後脊髄係留症候群発生率は約20〜30%であり,学童期以降の成長に伴う症状発現に注意して見守っていく必要がある.従来,脊髄髄膜瘤は出生後早期の治療に注目されることが多かったが.今後は,各種治療法の進歩による長期生存を前提に,成長後の問題も念頭に置いて経過観察することが重要となってきている.
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© 2011 日本脳神経外科コングレス

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