脳神経外科ジャーナル
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クモ膜下出血軽症例における非急性期のFLAIR画像
橋本 祐治布村 克幸木原 光昭馬場 雄大藤重 正人山村 明範中川 俊男端 和夫
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2011 年 20 巻 9 号 p. 671-677

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抄録
クモ膜下出血(SAH)に対するFLAIR画像の診断能力は,急性期のみならず亜急性期や慢性期においても有効であるとされる.しかし,非急性期のSAHに関するFLAIR画像の所見については,詳細な報告はほとんどみられない.今回,脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血のうち,6例の軽症のSAHを対象として,非急性期のFLAIR画像の検討を行った.MRIの撮影時期は,頭痛を自覚してから9日〜約1カ月である.FLAIR画像の特徴は,以下の4点であった.(1)動脈瘤周囲や脳底槽では信号変化を認めない,(2)このため動脈瘤の破裂部位の推測は困難である,(3)側脳室後角内の血腫の診断は,periventricular hyperintensityに影響を受け,少量の場合では識別が困難である,(4)円蓋部のSAHは比較的幅広い範囲に軽度から中等度の高信号として描出され,一方シルビウス裂では限局した範囲に,中等度からやや強い高信号として認めた.上記所見は非急性期の軽症SAH症例においても,FLAIR画像は有用な診断方法であることを示している.しかし,その検出感度はCTを上回るものの,急性期と比較すると高くはない.適切な診断には,発症後の時間経過から予測されるSAHの描出範囲やその信号強度を理解するとともに,診断の限界を認識することが重要である.
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© 2011 日本脳神経外科コングレス

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