脳神経外科ジャーナル
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脳神経外科医の基礎研究と臨床研究のバランス(<特集>脳神経外科医のresearch mindとacademism)
黒田 敏
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2012 年 21 巻 6 号 p. 458-463

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抄録

わが国の脳神経外科医にとっての基礎研究,臨床研究の目的,意義,手法について,筆者の経験に基づいて概説した.われわれ脳神経外科医にとっての基礎研究,臨床研究は,新たな「知」の創造を通して未来の医療を向上させる以外に,科学的思考能力を身につけて絶え間なく自らの診療行為を発展させ,ひいては患者さん一人ひとりの健康を向上させるための手段である.基礎研究と臨床研究との間には優劣の差はない.ただし,それぞれ異なる研究プロセスを体験することは一人の脳神経外科医の成長にとってきわめて重要である.医師としての研修システムが多様化した現在,両者を体験できる機会は以前よりも減少しているかもしれないが,これら2つの研究を適切な時期に適切に経験できる環境を,研究機関や研修病院が一人でも多くの脳神経外科医に提供できるよう,今後も努力する必要がある.

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© 2012 日本脳神経外科コングレス
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