抄録
Transsylvian approachに必要な解剖学的知識について記載した. シルビウス静脈は走行, サイズ, 吻合にvariationが多いが, transsylvian approachを行う観点からは単純な形態に整理し理解することが必要である. シルビウス裂内の静脈は, superficial sylvian veinとdeep middle cerebral veinの2つの静脈システムが吻合静脈を介し結合している. 2つの静脈システム間の吻合は表層のinsular vein, 中間層のcommon vertical trunk, 深部のfrontobasal bridging veinを介し, この吻合静脈の発達の程度によりdeep middle cerebral veinの前半部は相補的にhypoplasticになる. 静脈温存のポイントは側頭内側部の静脈と動脈を完全にskeletonizationしてしまうことであり, これにより前頭葉のbrain retractionが過度になったり静脈を犠牲にするような局面を回避することができる. 基本的にシルビウス裂の解剖の理解は病変の存在下で, 髄液がある状態の各コンパートメントを観察するのが最も有効な手段である.