脳神経外科ジャーナル
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特集 動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の病態と治療―なにが違ってなにが同じなのか―
脳動静脈奇形と硬膜動静脈瘻の血管内治療
松丸 祐司
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2013 年 22 巻 12 号 p. 911-916

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抄録

 動静脈シャントに対する血管内治療には, 経動脈的塞栓術 (TAE) と経静脈的塞栓術 (TVE) があり, 塞栓物質としてはコイルなどの固体塞栓物質とNBCAやOnyxなどの液体塞栓物質がある. 脳動静脈奇形 (BAVM) では, 流出静脈のみを閉塞するとナイダスが破綻し出血する. 安全に根治を得るためには液体塞栓物質によるすべての流入動脈とナイダスの閉塞が必要であるが, 小型のBAVM以外では困難である. そのため血管内治療は, 開頭摘出術あるいは定位的放射線治療の補助療法として, TAEによる流入動脈閉塞や部分的なナイダス閉塞が行われる. 一方, 硬膜動静脈瘻 (DAVF) ではナイダスは存在しないため, 流出静脈洞または静脈の閉塞により出血を生じることはなく, 根治が可能である. そのため血管内治療はDAVFに対する第一選択治療であり, コイルによるTVEか液体塞栓物質によるTAEが行われる.

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© 2013 日本脳神経外科コングレス
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