脳神経外科ジャーナル
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特集 良性腫瘍の診断と治療
難治性頭蓋底腫瘍の課題
齋藤 清佐藤 拓市川 優寛岸田 悠吾田村 貴光織田 惠子松本 由香安藤 等佐久間 潤
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2013 年 22 巻 2 号 p. 109-116

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抄録
 頭蓋底腫瘍の治療には腫瘍制御と機能温存が求められるが, 達成は容易でない. 頭蓋底に進展した癌や肉腫などの悪性腫瘍に対する広範囲頭蓋底腫瘍一塊切除・再建術は60∼70%の治癒率が期待できる. 重粒子線や陽子線治療など新しい放射線治療により手術に匹敵する治癒を得ることができるか, 長期成績の解析が必要である. 脊索腫には摘出手術と高線量放射線治療が用いられるが, 5年生存率は60∼80%前後と不良である. 確実な摘出のために周辺骨まで削除することが重要であり, 拡大経鼻内視鏡手術が開頭頭蓋底手術に置き換わるか, 陽子線治療や重粒子線治療を用いて大きな腫瘍も制御ができるか, 長期治療成績の解析が待たれる. 頭蓋底髄膜腫には摘出術と定位放射線治療が必要であるが, 摘出困難例や臨床的悪性例が存在し治療は容易でない. 成績改善には摘出目標を明確にすることが重要である. 浸潤性, 成長が早い, 再発しやすい, 悪性転化するなど臨床的悪性髄膜腫の診断が可能となれば, より適切な治療方針が確定できる. 定位放射線治療については治療時期の決定 (摘出術直後vs. 腫瘍増大確認後) と, 超長期成績の解析による腫瘍悪性化や二次癌発生率の解明が必要である.
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© 2013 日本脳神経外科コングレス

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