抄録
近年, 神経障害性疼痛に対する複数の薬物治療ガイドラインが海外から刊行されるとともに日本ペインクリニック学会から本邦の医療事情を踏まえた日本版のガイドラインが発刊され, 煩雑であった神経障害性疼痛の薬物治療をevidence-basedに行うことが容易となった. しかしながら, 神経障害性疼痛の多くは根治が困難であり, 疼痛改善によるQOLの向上を達成するためには集学的な治療が必要となることが多い. 近年, デバイスの著しい進歩とそれに伴う治療成績の向上や適応疾患の拡大を契機に, 脊髄刺激療法を中心とするニューロモデュレーション (療法) の慢性疼痛治療における位置づけが大きく変わった. 現在ではSCSを中心とするニューロモデュレーション治療は, 従来考えられていた「疼痛治療の最終手段」ではなく, 集学的治療の一つのオプションとして早期の導入を考慮すべき治療法と考えられるようになってきている.