抄録
90歳, 女性. 頭部打撲のため当科受診した. 頭部CTでは右前頭葉に浮腫を認め, その部の頭蓋骨内板が破壊されていた. 造影MRIではdural tail signを伴った不規則に造影される腫瘤を認めた. 神経脱落症状はなかったが, 悪性髄膜腫や転移性硬膜腫瘍などと鑑別のため開頭腫瘍摘出術を施行した. 骨片の内面と硬膜の表面にもろいチーズ様の腫瘤が付着し, 硬膜と連続して弾性硬の脳実質外の腫瘍を一塊として摘出した. 病理組織検査では, 乾酪性壊死を伴う類上皮肉芽腫の診断で, Ziehl-Neelsen染色, PAS染色, Grocott染色で明らかな菌塊は認めなかったが, QuantiFERON-TB検査で結核の活動性を示していたため硬膜結核腫と診断した. 硬膜結核腫は非常にまれであり文献的考察を加えて報告する.