抄録
脳神経外科での合併症および合併症に伴う死亡例について検討した. 対象は376床の急性期病床で, 2013年の手術件数215件, 入院症例数413件, 死亡例22例 (5.3%) であった. 死亡例と入院症例全体の平均年齢の差は年々拡大していく傾向があった. 死因は合併症が半数を占め, 感染性合併症による死は18.2%であった. D-dimerによるdeep venous thrombosis (DVT) スクリーニングでは全入院症例の3.1%にDVTを認め, くも膜下出血や脳出血では6%を越えていた. 術直後の皮膚培養で脳血管撮影例の20.2%に, 手術例の47.6%に細菌汚染が確認された. 脳神経外科治療をより安全に行うためには, 技術の習得だけでなく適切な周術期管理, 亜急性期管理を行うためのシステム構築, エビデンスの蓄積が必要である.