脳神経外科ジャーナル
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症例報告
舌下神経管近傍に発生したsolitary fibrous tumorの1例
土持 諒輔井上 琢哉下釜 達朗金城 満鈴木 聡
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2015 年 24 巻 5 号 p. 335-340

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抄録

 舌下神経管近傍に発生した腫瘍で, 当初神経鞘腫や髄膜腫を疑い腫瘍切除術を行ったが, その病理学的診断がsolitary fibrous tumor (SFT) であった症例を経験したので報告する.
 症例は55歳, 女性. 2012年7月ごろより舌が右に引きつるようになり, よく噛むようになった. 近医にて右舌下神経麻痺を指摘され, 当科紹介となった. 頭部MRIで延髄右腹側から右舌下神経管内に進展する最大径20mm大の腫瘤を認めた. 右舌下神経管は拡大し, 延髄は腫瘤により左背側へ圧排されていた. 舌下神経鞘腫や大孔前縁髄膜腫を疑い, 右外側後頭下開頭腫瘍切除術を施行した. 摘出病変の永久病理標本では類円形∼紡錘形の腫瘍細胞が増生した膠原線維間に増殖しており, 免疫染色で抗CD34および抗STAT6抗体による免疫染色が陽性であったことからSFTと診断した.
 SFTは多くは胸膜に発生する腫瘍であるが, 中枢神経系に発生した例も報告されている. これらには特徴的な画像所見がなく, 中枢神経系に発生し得る腫瘍として鑑別に挙げておくことが必要と考えられた.

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© 2015 日本脳神経外科コングレス
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