脳神経外科ジャーナル
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症例報告
新規経口抗凝固薬 (NOAC : novel oral anticoagulant) 内服中に外傷性頭蓋内出血を発症し血腫除去を行った3例
竹中 朋文芝野 克彦梅垣 昌士佐々木 学鶴薗 浩一郎松本 勝美
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2015 年 24 巻 5 号 p. 327-333

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抄録

 NOACは種々のランダム化試験においてワルファリンと比較し頭蓋内出血の発生率が低いことが知られている. しかしNOAC内服中の頭蓋内出血における対応は, いまだ明確なガイドラインが設立されていないのが現状である. われわれはNOAC内服中にいずれも緊急外科的治療を要した頭蓋内出血を3例経験した.
 1例目は82歳女性で, ダビガトラン最終内服20時間後に開頭血腫除去術を施行した. 術中および術後止血は良好で, 輸血も要さなかった. 2例目は77歳男性で, 正中偏位を伴う急性硬膜下血腫を認めた. リバロキサバン最終内服後17時間経過していたが, APTTは74.9秒であった. 新鮮凍結血漿やPCC投与しながら手術を施行した. 術中出血量は400mlであった. 3例目は78歳男性で, 右側頭頭頂葉30mm大の外傷性脳内血腫を認めた. 最終内服より11時間経過しての外傷であったため, 当初集中治療室にて保存的加療とした. しかし3時間後意識レベルがGCS 14点より8点まで低下した. 頭部CTでは血腫は70mm大に増大を認めた. 新鮮凍結血漿を投与しながら手術を施行し, 止血を得た. NOAC内服中の外傷性頭蓋内出血患者には, 慎重な経過観察として頻回な頭部CT検査や血液検査ならびに, 有用性は明確に証明されていないがPCCや, あるいはFFPの準備が必要であると思われる.

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© 2015 日本脳神経外科コングレス
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