抄録
新規治療法の臨床応用を考慮する前段階として, 通常, 妥当な動物モデルを用いた前臨床試験が行われる. 前臨床試験で観察される効果の程度とデータの頑強性が, 臨床試験に移るかどうかの判断の根幹となる. 適切な動物モデルと評価法の選択はもとより, 試験の各過程で混入し得るバイアスを最小限に抑え, 得られたデータの適切な統計学的評価が, 臨床へのトランスレーションの可能性に関する予測能 (predictive value) を高めるために役立つと考えられている. 脳梗塞に対する神経保護療法の前臨床試験を例に, トランスレーション予測能を最大化するための近年の動向を概括する.