脳神経外科ジャーナル
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特集 基礎研究から臨床へ―トランスレーショナルリサーチの現状と展望―
iPS細胞を用いたパーキンソン病治療
土井 大輔髙橋 淳B
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2015 年 24 巻 9 号 p. 597-604

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抄録

 パーキンソン病に対して胎児中脳腹側細胞移植の効果が報告されているが, 移植細胞の量的・質的問題があり標準治療にはなっていない. ES/iPS細胞を用いた細胞移植ではこれらの課題を解決できる可能性がある. さらに, iPS細胞を用いた場合には自家移植が可能である. われわれはヒトES細胞由来のドパミン神経がサルのパーキンソン病モデルに生着・機能することを示した. また分化誘導法の改良とソーティングにより効率よく大量のドパミン神経前駆細胞を作製し, ヒトiPS細胞由来のドパミン神経がラットに生着し機能することを確認した. さらに, サルiPS細胞を用いて自家移植と他家移植の直接比較を行い, 自家移植では免疫反応がほとんど起こらないことを示した. これらの成果に基づき, われわれは孤発性パーキンソン病患者を対象として臨床研究を行い, ヒトiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞の安全性を検討する予定である.

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© 2015 日本脳神経外科コングレス
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