2016 年 25 巻 4 号 p. 300-306
小児水頭症の病態概念の変遷と治療について概説する. 古くは水頭症は脳内に髄液が貯留した状態と考えられていた. 20世紀に髄液循環の概念が確立し水頭症は髄液循環障害と考えられるようになった. 最近, 髄液は広く毛細血管から分泌・吸収されることが明らかになり, また, 小児の髄液循環は成人とは異なるとする説が唱えられている. 水頭症治療は髄液ドレナージに始まり, 髄液循環の概念が確立するとともに交通性・非交通性に分けて考えられるようになった. 近年, 非交通性水頭症治療の第1選択は内視鏡的第三脳室底開窓術である. シャント手術は, さまざまな試みを経て脳室腹腔短絡術が定着した後, シャントバルブにさまざまな改良がなされている.