脳神経外科ジャーナル
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原著
慢性硬膜下血腫の再発因子についての検討
櫻井 卓上山 憲司大里 俊明荻野 達也遠藤 英樹御神本 雅亮高平 一樹浅野目 卓中村 博彦
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2016 年 25 巻 9 号 p. 748-753

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抄録

 慢性硬膜下血腫は脳神経外科領域で遭遇する機会の多い疾患であり, 治療法としては穿頭術が標準的な治療となっている. 血腫の排液により症状の改善を認め, おおむね良好な成績を得ているが, 術後血腫の再発をまれならず経験する. 今回当院で経験した慢性硬膜下血腫の再発危険因子を検討し文献的考察を加えて報告する.

 2014年1月1日~2015年7月31日に当院で手術を施行した慢性硬膜下血腫187症例 (222手術例) を対象とし, 患者因子, CT所見について後方視的に比較した.

 再発は187症例中26症例に認め, 再発率は13.9%であった. 統計学的に有意差 (p<0.05) を認めた再発危険因子は, 患者因子では年齢, 高血圧の既往, 抗凝固薬の内服であった. 術前CT所見では, 血腫量, 正中偏位, ニボーであった. 術後CT所見ではday 1, 7での血腫縮小率であった.

 再発を起こす例は術後1週間で血腫がすでに増大していることが多く, 術後翌日から1週間後にかけての血腫増大または増大率により, 再発を早期に予測できると考えられる.

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© 2016 日本脳神経外科コングレス

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