脳神経外科ジャーナル
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特集 虚血性脳血管障害
症候性頭蓋内動脈狭窄の内科的治療と脳血管内治療の現状
植田 敏浩
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2017 年 26 巻 10 号 p. 714-720

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抄録

 頭蓋内動脈狭窄は, 本邦では脳梗塞患者の18%に認め, 年間脳梗塞発症率は5~10%と報告されている. 症候性頭蓋内動脈狭窄に対する内科的治療は, 抗血小板薬の2剤併用の有用性も報告されている. Wingspan stentによる脳血管内治療と内科的治療を比較したランダム化試験では, 30日以内の脳卒中・死亡がステント群では14.7%, 内科群では5.8%と有意な差があり脳血管内治療の有用性は否定された.

 本邦では2014年にWingspan stentが認可され, その適応は①血管形成術時に生じた血管解離, 急性閉塞に対する緊急処置, ②他に有効な治療がない血管形成術後の再治療, とされた. Wingspanを用いた脳血管内治療は, 適応選択に慎重を期すべきであり, バルーン拡張のみで終わる低侵襲な手技が有効な場合もある.

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© 2017 日本脳神経外科コングレス

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