2017 年 26 巻 10 号 p. 750-756
脊髄に神経鞘腫と髄膜腫が同時多発的に存在することがあるが, そのほとんどは神経線維腫症2型 (neurofibromatosis-2 : NF-2) に伴うものである. 今回われわれはNF-2の診断基準を満たさず, 脊髄同レベルに神経鞘腫と髄膜腫が同時に存在するきわめてまれな症例を経験した. 神経鞘腫に髄膜腫が併存する場合は手術戦略が変わってくるため術前画像所見に注意する必要があるが, 過去の報告と異なり本症例では術前画像で2つの異なる腫瘍の存在を診断することがきわめて困難であった. このように硬膜内外にわたる脊髄腫瘍の治療の際には, きわめてまれではあるが神経鞘腫と髄膜腫が同時に存在している可能性も考慮して手術に臨む必要があると考えられた.