脳神経外科ジャーナル
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特集 脊椎・脊髄
脊髄髄内腫瘍の手術
—手術安全性・正確性を最適化するための方策—
髙見 俊宏内藤 堅太郎山縣 徹大畑 建治
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2017 年 26 巻 5 号 p. 333-340

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抄録

 脊髄髄内腫瘍の診療においては, 個人あるいは施設レベルでの診療実績の蓄積が容易ではないため, 診断・治療方針に難渋することが少なくない. 脊髄髄内腫瘍の手術における最重要点は, 腫瘍制御だけでなく, 四肢・体幹機能を常に考慮しなければならない点である. つまり腫瘍制御と四肢・体幹機能のベストバランスを保つことが求められている. 神経機能回復の余地を十分に残しつつ, 最大限の腫瘍切除を達成することが腫瘍制御と四肢・体幹機能のベストバランスを保つことであるものと確信している. そのための手術安全性と正確性を最適化する重要課題として, ①質的画像診断, ②神経モニタリング, ③術中画像支援, ④脊髄切開経路の選択, そして⑤腫瘍境界の露出と剝離操作の5項目について記載した. 安易な判断あるいは手術操作が, 手術結果に深刻な影響を及ぼす危険があることを, 手術チーム全体が認識すべきである. 手術操作だけでなく, 術前診断, 術中支援, さらには術後ケアによる総合力の結集が必要であることを強調したい.

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© 2017 日本脳神経外科コングレス
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