2017 年 26 巻 7 号 p. 530-537
症例は75歳男性. 突発する発語障害を主訴に当院を紹介受診し, 重度の運動性失語を認めた. 頭部CTでは左前頭葉に比較的境界が明瞭な低吸収域病変を認め, MRIでは中心部に出血性変化を伴い, 造影にて血腫辺縁と内部が不均一に増強される脳実質内腫瘍が疑われた. 腫瘍内出血を伴った悪性神経膠腫と判断し開頭術を行ったが, 明らかな壊死像や血管内皮増生は認めず, びまん性星細胞腫と診断された. 腫瘍内出血にて発症するびまん性星細胞腫は比較的まれであるが, 出血巣では局所的な細胞密度, 微小血管密度の増加が確認され, 腫瘍内出血の一因と考えられた.