2017 年 26 巻 9 号 p. 677-681
頚動脈ないし椎骨動脈の狭窄や, 閉塞病変で頚動脈椎骨動脈吻合が発達することがある. 今回, われわれは内頚動脈と頭蓋外椎骨動脈の多発狭窄に頚動脈椎骨動脈吻合が並存した例を経験した. 左内頚動脈狭窄の治療に際して吻合血管を介する後方循環への脳塞栓ないし血行力学的虚血を危惧し, 椎骨動脈狭窄の経皮的バルーン拡張を先行させた. その結果, 左総頚動脈撮影で吻合血管の描出は消失した. その後有害事象なく内頚動脈狭窄に対する内膜剝離術を施行できた. 頚動脈椎骨動脈吻合を伴う場合内頚動脈狭窄の治療は前方循環のみならず後方循環の塞栓ないし血行力学的虚血性合併症にも留意し, 症例ごとにより安全な治療法を追求することが肝要である.