脳神経外科ジャーナル
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症例報告
血管内治療後早期に微小出血を伴った多発性異物肉芽腫の1例
野田 龍一井上 雅人坂倉 悠哉山口 翔史玉井 雄大宮原 牧子栁澤 俊介岡本 幸一郎原 徹男
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2018 年 27 巻 10 号 p. 773-780

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抄録

 ステント支援下コイル塞栓術後の早期に多発微小出血にて発症し, ステロイドパルス療法が奏効した異物塞栓による多発肉芽腫が疑われた1例を経験したため, 文献的考察を加えて報告する.

 57歳女性. 左中大脳動脈 (MCA) 分岐部動脈瘤破裂によるくも膜下出血に対しコイル塞栓術施行後1年の脳血管撮影で動脈瘤内の再開通所見を認めたため, ステント支援下コイル塞栓術を施行した. 術後4日のCTで微小出血を疑う所見あり, 術後6日のMRIで浮腫性変化を伴う散在性の微小出血を認めた. 特に神経症状の悪化などは認めず, 術後2週間のCTで出血の増大なく自宅退院したが, 術後1カ月目に見当識障害, 右麻痺で再来院した. 造影CTの静脈遅延相およびMRIを施行したところ, 左大脳半球に浮腫性変化を伴う散在性微小造影病変を認めた. 臨床経過および画像所見から異物肉芽腫の可能性が高いと判断し, ステロイドパルス療法を行ったところ, 著明な症状改善を認め, 第25病日に無症状で自宅退院した.

 術後早期から微小出血にて発症する異物肉芽腫はまれであるが, 早期発見に造影CTの静脈遅延相が有用であった.

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© 2018 日本脳神経外科コングレス

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